(2001年7月17日、読売新聞)
ブロードバンドの普及
またひとつネットを変える
高速インターネットを可能にするブロードバンド(広帯域)接続が急速に普及する中、テレビと同様な動画のインターネット広告の配信が目立ってきた。文字や簡単な画像によるバナー広告に比べ、テレビCMのデータ量は圧倒的に大きいが、ネット接続の高速化で転用、配信が容易になったためだ。米国ではインターネット広告に陰りが生じているが、電通は日本のインターネット広告費の総額は2000年の約590億円から約1000億円に増大すると推定している。動画広告の拡大がさらに弾みになるかもしれない。
CATV
テレビCM
CATVインターネットを手がけるアットホームジャパン(本社・東京都目黒区)は2001年6月から、テレビCMを加工しストリーミングで流し始めた。毎秒300キロ・ビットで画面はたばこの箱大だが画質はテレビに見劣りしない。動画が終了すると自動的に商品説明などのサイトが開く。
動画広告
インターネット広告代理店
また、インターネット広告代理店のCCI(東京都中央区)も、テレビCMを速度の遅いインターネットでも見られるように加工、4社のテレビCMを実験的に配信している。配信を受けている18のサイトにアクセスすると画面の一部に自動的に動画広告が現れる。
カネボウ、ヤマハ
サントリー
従来のインターネット広告は静止画や文字が中心。テレビCMのようなインパクトがなく、利用する業界も限られていた。しかし、動画広告にはカネボウ、ヤマハ、サントリーなどこれまでの、インターネット広告の“常連”ではない顔ぶれが並んでいる。「イメージが重要な商品や、企業のブランド力を高めるには動画広告が有効」との見方が広告代理店など関係者に広がっているためだという。
ポッカコーポレーション
キャンペーンの動画広告
CCIを通してキャンペーンの動画広告を流しているポッカコーポレーションも「動画の方が印象が強く、多くの消費者にメッセージが伝わる」と手ごたえを感じている。
権利侵害
しかし、テレビCMをインターネットで配信するにはハードルがある。CMに出演しているタレント、使われた音楽などは、放送するエリアや期間が決まっている一方、通常はインターネットで流すことを想定していないため、そのまま転用するとさまざまな権利を侵すことになるためだ。
クレーム
関係者によると、2000年末ごろから、テレビCMが出演者側に無断でインターネットで配信され、クレームが出たケースが何件かあったという。
電通と博報堂
アド・ミッション
そうしたトラブルを防ぐため、電通と博報堂は7月上旬、インターネットなどで使用する場合の、CMの期間、地域などの使用条件を登録しておくデータベースシステム「アド・ミッション」を発表した。
環境整備
インターネットに配信する業者が参照して利用するためのもので、業界全体に呼びかけて2002年春の共同運用開始を目指すといい、環境整備も徐々に進みそうだ。